最近増えているマイコプラズマ肺炎とは?|ピースこどもクリニック|中央林間駅徒歩1分の小児科

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最近増えているマイコプラズマ肺炎とは?

最近増えているマイコプラズマ肺炎とは?|ピースこどもクリニック|中央林間駅徒歩1分の小児科

― 症状・治療・耐性菌・注意点を解説 ―

こんばんは、院長の松村です。インフルエンザの流行が始まり、先週から中央林間界隈でも患者さんが増えてきました。その一方、近ごろ小児科外来で「マイコプラズマ肺炎」と診断されるお子さんが増えています。

私が学生、若手小児科医の時はマイコプラズマ肺炎は4年に一度流行する (オリンピックイヤーに流行する) なんて言われておりましたが、昨年から多少の波はあるものの流行が続いているように思います。

名前は聞いたことがあっても、「風邪と何が違うの?」「どんな症状が出たら受診すればいいの?」と不安に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、小中学生くらいまでのお子さんを育てているご家庭向けに、マイコプラズマ肺炎の特徴・症状・治療・耐性菌・注意点までをわかりやすく整理してお伝えします。


🦠 マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ」という細菌の仲間が呼吸器に感染して起こる肺炎です。

一般的な細菌やウイルスと少し性質が異なり、進行がゆっくりで咳が長引くのが特徴です。4〜12歳の子どもに多く、学校や習い事など集団生活の場で拡がりやすい感染症です。

感染経路は主に飛沫感染(咳やくしゃみなど)で、潜伏期間が2〜3週間と長いため、知らないうちに家庭内やクラス内で感染が広がっていることもあります。


🤧 主な症状と風邪との違い

初期は鼻水やのどの痛みなど、風邪とよく似た症状から始まりますが、次第に次のような特徴が現れます:

  • 乾いた咳が長く続く(2〜3週間続くことも)

  • 夜間に咳が強くなる

  • 38〜39℃の発熱が数日続くことがある

  • 胸が痛い、呼吸が苦しそうに見える場合がある

 

風邪と違い、熱が下がっても咳がなかなか止まらない点がマイコプラズマ肺炎の特徴です。

また、特徴的な点として、聴診では明らかな異常音を認めないことがあるという点も挙げられます。胸の音がきれいでも肺炎が進行しているケースがあるため、「咳が長く続く」「熱が下がらない」といった症状があれば、音だけに頼らず慎重な経過観察が必要です。


🩺 受診の目安と診断

次のような様子が見られたら、早めに小児科を受診してください。

  • 咳が5日以上続いている (初め乾いた咳、次第に湿った咳に変わります)

  • 発熱が3日以上続いている

  • 夜間の咳が強く、眠れない様子がある

  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーしている

診断は、当院では症状の経過や聴診、必要に応じて血液検査・迅速検査を行います。ただし迅速検査は感度 (感染しているものを陽性と診断する)  がやや劣る印象もあり、LAMP法というPCR検査を行うことを推奨しています。また、典型的な症状から臨床的に判断される場合も少なくありません。


💊 治療について

マイコプラズマには一般的な抗菌薬が効きにくいため、マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシンなど)が使われます。マクロライド系抗菌薬は、効果があれば内服後2日程度で解熱が得られますが、ニューキノロン系では3日程度要すると考えられます。無治療で経過した場合、診療経験上の感覚ですがおよそ8-10日間熱が持続するものと考えています。

治療を始めても咳だけがしばらく続くことはよくありますが、多くの場合は時間とともに軽くなります。焦らず医師の指示に従い、安静と水分補給を心がけてください。


🦠 増えている「マクロライド耐性マイコプラズマ」とは?

ここ数年、マイコプラズマ肺炎では「マクロライド耐性株 (=変異型)」と呼ばれる、第一選択薬である抗菌薬(マクロライド系)が効きにくいタイプが増えています。

特に日本の小児では、報告によっては30〜50%前後が耐性菌というデータもあります。

耐性菌が原因の場合、薬を飲んでも熱がなかなか下がらなかったり、咳が長引いたりすることがあります。

その際には、年齢や症状に応じて別の種類の抗菌薬(テトラサイクリン系やニューキノロン系など)に切り替えることで改善が見込めます。テトラサイクリン系は8歳未満は原則使用を控えるべきで、その場合はニューキノロン系 (トスフロキサシン) を使用します。

耐性菌だからといって極端に重症化するわけではありませんが、「薬を飲んでも良くならない」ときは自己判断で中止せず、必ず再診してください。

検査結果や症状の経過を見ながら、適切な薬の変更が必要になることがあります。


⚠️ 強い免疫反応(高サイトカイン血症)について

マイコプラズマ肺炎では、感染に対して体が強く反応しすぎることで、「高サイトカイン血症」と呼ばれる状態になることがあります。

これは、免疫がウイルスや細菌と戦うために出す物質(サイトカイン)が過剰に分泌されることで起こるもので、通常よりも高熱が長引いたり、症状が強く出たりする原因になることがあります。

このような場合には、抗菌薬だけでなく、炎症を抑えるためにステロイド(副腎皮質ホルモン)を使用することがあります。高サイトカイン血症になっているかどうかは、クリニックでの診療では判断困難であることが多いです。

ステロイドは強い免疫反応を抑えることで、症状の改善を早める効果が期待できます。自己判断で使用・中止することは危険ですので、必ず医師の指示のもとで治療を行います。


🏫 登園・登校の目安

マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法上の出席停止の対象ではありませんが、

熱が下がって元気が戻り、咳が落ち着いていることが登園・登校の目安です。

熱が下がっても咳が強いときは、周囲への感染を防ぐためにも自宅での休養をおすすめします。


🧼 家庭でできる予防と工夫

  • 手洗い・うがい・咳エチケットを徹底する

  • タオルやコップは共用しない

  • 兄弟姉妹がいる場合は寝室をできるだけ分ける

潜伏期間が長いため、家庭内での感染予防も大切です。咳が続く時期はマスクの着用も有効です。


✏️ まとめ

マイコプラズマ肺炎は「しつこい咳」が特徴の、子どもに多い肺炎です。

多くは軽症で自然に回復しますが、咳が長引く・熱が続く・呼吸が苦しそうといったときは早めに受診してください。

近年は耐性菌の増加や、まれに高サイトカイン血症が関与するケースもあり、治療に時間がかかることもあります。強い免疫反応が出た場合にはステロイド治療を行うこともあり、医師の判断が重要です。

また、聴診で異常な呼吸音が聞こえないことがあっても肺炎が進んでいる場合があるため、症状が続くときは油断せず受診を検討してください。

正しい知識と対応で、お子さんの体調をしっかり見守っていきましょう。


📍 ポイント:「元気そうでも咳が長い」「薬が効かない気がする」──そんなときは迷わず再診を。


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