こどもの便秘|何日出なかったら受診?
「数日うんちが出ていないけれど、様子を見ていて大丈夫かな?」
「浣腸を使った方がいいのか迷っています」 「踏ん張っているけどうんちがでません」
こどもの便秘はとてもよくある相談です。
大切なのは「様子を見てよい便秘」か「一度相談した方がよい便秘」かを見極めることです。
何日うんちが出なかったら便秘?【受診の目安】
「何日出なかったら便秘ですか?」とよく聞かれますが、日数だけでは判断できません。
- 2〜3日に1回でも、苦しそうでない・やわらかい便 → 心配ないことが多い
- 毎日出ていても、硬くて痛がる → 便秘の可能性あり
回数よりも「出すときの様子」が重要です。
ただ、回数だけの目安で言えば”週に2回以下の排便回数”は便秘と考えられます。
こどもの便秘|受診を考えた方がよいサイン
- うんちをするときに強く痛がる
- トイレやオムツ替えを嫌がる
- 便がとても硬い・コロコロしている
- 下着に少し便がつく(便もれ)
- お腹が張って苦しそう
- 便秘が何週間も続いている
- 排便時に血液が出る (切れ痔)
「緊急ではないけれど、ずっと気になっている」そんなときこそ受診のタイミングです。
こどもの便秘の原因|体質だけではない理由
- 水分摂取が少ない(冬は特に減りやすい)
- 運動量が少ない
- トイレを我慢する習慣
- 硬い便を出して痛かった経験
一度「痛い経験」をすると、
我慢 → 便がさらに硬くなる、という悪循環に陥りやすくなります。
便秘が長引くとどうなる?直腸に便がたまる状態
便秘が続くと、直腸の中に硬い便がたまったまま動かなくなることがあります。
医学的には「直腸内に便が詰まった状態(便塞栓)」と呼ばれることもあります。
- 便意が分かりにくくなる
- 出そうとしても出ない
- お腹は張るのに、少量の軟便だけが漏れる
「下痢っぽい便が出るのに便秘?」という状態は、直腸に硬い便がたまっているときに見られることがあります。繰り返す場合は相談してください。
こどもの便秘と頻尿・おねしょの関係
便秘が続いているお子さんで、次のような排尿のトラブルを伴うことがあります。
- トイレが近い
- 昼間のおもらし
- 夜のおねしょが増える
直腸にたまった便が膀胱や尿道の働きに影響するためと考えられています。
このように排便と排尿の問題が同時にみられる状態は、DDS(排便・排尿機能障害)と呼ばれることもあります。
排尿の症状がある場合でも、便秘を整えることで一緒に落ち着くことは少なくありません。
夜のおねしょ(夜尿)についても、便秘が影響していることがあります。
詳しくは 夜のおねしょ(夜尿)についての解説 も参考にしてください。
注意が必要な便秘のサイン(見逃したくない症状)
こどもの便秘の多くは生活習慣などに関連した「機能性便秘」ですが、まれに背景に病気(器質的な原因)が隠れていることがあります。
次のようなサインがある場合は、早めに小児科での評価が必要です。
- 生後まもなくから便秘が強い
- 生後48時間以内に胎便が出なかった
- 体重増加や発育が気になる
- お腹が常に強く張っている
- 肛門の切れによらない血便を繰り返す
- 便秘に加えて嘔吐や全身状態の悪さがある
こどもの便秘|小児科で行う治療について
生活習慣の調整
- 水分をこまめにとる
- 朝食後にトイレに座る習慣(出なくてもOK)
- 便意を我慢しない声かけ
- 「出ない/失敗した」を責めない
薬物療法(必要に応じて)
必要な場合には、便をやわらかくして出しやすくする薬を使うことがあります。大腸の蠕動を刺激するお薬を使用することもありますが、それほど処方機会は多くありません。
目的は「出すこと」だけではなく、「痛くなく、自然に出る状態」を取り戻すことです。
排便のリズムが整ってきたら、少しずつ減らしていくことも可能です。
便塞栓が疑われる場合は、連日の浣腸 (通常3〜5日間) を実施することをお勧めしています。連日の浣腸で便塞栓を解除することにより、便秘薬の効果がより期待できます。
年齢や状態によって便秘薬の種類や使い方が異なるため、自己判断での使用は避け、迷ったときは小児科で相談してください。
よくある質問(Q&A)
Q1:何日出なかったら受診した方がいいですか?
日数だけでなく、痛み・硬さ・我慢・便もれがあるかがポイントです。数日でも苦しそうなら相談してよいです。日数の目安としては4-5に日排便がない場合は受診していただくことをお勧めします。
Q2:下痢みたいな便が出るのに便秘なんですか?
直腸に硬い便がたまっていると、すき間から軟便が少し漏れて「下痢っぽく」見えることがあります。便失禁に近い状態と考えます。繰り返す場合は相談してください。
Q3:便秘の薬はずっと飲み続ける必要がありますか?
多くは一時的に使い、整ってきたら減らしていくことが可能です。お子さんの状態に合わせて調整します。経験的には数ヶ月から年単位で内服していただく方が便秘のぶり返しがなく、排便習慣の確立に良いと考えます。まずは、排便自体が無理なく気持ちよいものだとお子様が実感できることが重要と考えます。
Q4:便秘とおねしょ(頻尿)は関係ありますか?
便秘が続くと、頻尿やおねしょ、昼間のおもらしが増えることがあります。便秘を整えると一緒に落ち着くこともあります。
Q5:器質疾患が心配です。どう見分けたらいいですか?
「見逃したくない症状」に当てはまる場合は早めに相談してください。一方で、元気・食欲・成長が保たれていれば機能性便秘のことが多いです。
最後に|「相談していいのかな?」と思ったら
便秘は放置すると長引きやすい症状です。
「この程度で受診していいのかな?」と迷ったときこそ、気軽にご相談ください。
お子さんとご家族が、毎日を少し楽に過ごせるようにお手伝いします。








