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インフルエンザ検査で鼻に綿棒を入れる理由|鼻水検査との違いと正確性
インフルエンザの迅速検査(抗原検査)では、細い綿棒をお鼻に入れて検体を採ることが多いです。
お子さんが嫌がることもあり、保護者の方からはこんな質問をいただくことがあります。
- 「鼻をかんだ鼻水で検査できるときいたことがあります」
- 「綿棒以外の方法はありませんか?」
結論から言うと、基本は鼻腔(できれば奥の粘膜)を綿棒でぬぐう方法のほうが、感度が高く安定します。
鼻水(鼻をかんだ鼻汁)を使う方法は簡便ですが、陰性でも見逃し(偽陰性)が出やすいため、使いどころが大切です。
🦠 インフルエンザウイルスは「鼻の奥」で増える
インフルエンザウイルスは、鼻の入り口よりも、鼻の奥〜のどの上の方(鼻咽頭)の粘膜で増殖します。
そのため、検査の精度は「どこから、どれだけウイルス(+感染した細胞)を採れるか」に大きく左右されます。
🧪 2つの採取方法の違い
| 方法 | 採る場所・特徴 | ウイルス量の傾向 | 精度(感度)の安定性 |
|---|---|---|---|
| 鼻腔スワブ(綿棒でぬぐう) | 鼻腔〜奥の粘膜を直接こすって採取 ウイルス+感染細胞が採れやすい |
◎ 多い | ◎ 安定 |
| 鼻水(鼻をかんだ鼻汁) | 主に前の方の分泌物が中心 細胞成分が少なく、ばらつきやすい |
△〜○ ばらつく | △ ムラが出やすい |
📊 感度はどれくらい違う?(目安)
研究によって数値は幅がありますが、一般的には次のような傾向です(PCR等と比べた場合)。
| 検体 | 迅速抗原検査の感度のイメージ | ポイント |
|---|---|---|
| 鼻咽頭〜鼻腔ぬぐい(スワブ) | 高め(概ね 70〜90% 前後の報告が多い) | 感染部位に近く、ウイルス量が多い |
| 前鼻部ぬぐい | やや低め(概ね 60〜80% 前後) | 奥より薄まりやすい |
| 鼻水(鼻をかんだ鼻汁) | さらに低め(50〜70%程度まで落ちる報告も) | 検体の質が安定しにくい |
特に差が出やすい条件もあります。
- 発症早期(発熱してすぐ):ウイルス量がまだ増え切らず、陰性になりやすい
- インフルエンザB型:もともと迅速検査で見逃しやすい傾向があり、検体の差が出やすい
- 鼻水が少ない時期:鼻水法は採れる量・質が不十分になりやすい
🤔 鼻水法はなぜ陰性になりやすいの?
- ① ウイルスが多い「奥の粘膜」から採れていない
鼻水は前の方の分泌物が中心になり、奥の感染部位の情報が薄くなりやすいです。 - ② 「感染した細胞成分」が少ないことがある
迅速キットはウイルス抗原を検出しますが、鼻汁だけだと細胞成分が少なく、検出しにくい場合があります。 - ③ 小児はとくに“検体のムラ”が大きい
うまく鼻がかめない、ティッシュに吸われて検体量が減るなどで、再現性が下がりやすいです。
👶 小児科での「使い分け」
当院では基本的に、診断の正確さ(見逃しを減らす)を優先して、可能な限り鼻腔スワブで検査を行います。
| 状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 治療方針をしっかり決めたい (抗インフル薬の判断、登園・登校判断など) |
鼻腔スワブ推奨 | 感度が高く安定 |
| 発症12時間未満 | 鼻腔スワブ推奨 | 早期ほど偽陰性が増えるため |
| B型が疑わしい | 鼻腔スワブ推奨 | もともと見逃しやすく、検体差が出やすい |
| どうしても綿棒が難しい/強い恐怖がある | 鼻水法も選択肢(ただし注意) | 陰性の信頼度が下がるため、臨床判断が重要 |
✅ いちばん大事:鼻水法の「陰性」は過信しない
鼻水を使った検査は、簡便で負担が少ない一方、陰性でもインフルエンザを完全に否定できないことがあります。
とくに、
- 発熱初日
- 家族や学校で流行している
- B型が流行している
といった状況では、症状や周囲の流行状況を合わせて総合的に判断し、必要に応じて翌日の再検査を検討します。
📝 まとめ
| 項目 | 鼻腔スワブ(綿棒) | 鼻水(鼻をかんだ鼻汁) |
|---|---|---|
| 感度 | 高い・安定 | やや低い・ばらつく |
| 再現性 | 高い | 低め |
| 負担 | 嫌がることがある | 比較的少ない |
| 陰性の信頼度 | 比較的高い | 低め(臨床判断+再検査前提になりやすい) |
インフルエンザの検査は「検体の採り方」で精度が変わります。
つらい検査ではありますが、できるだけ正確に診断するために鼻腔スワブが選ばれている、という背景があります。
「検査した方がいい?」「陰性だけど心配…」など、迷うときはお気軽にご相談ください。
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