溶連菌は薬で治る?治らない?|子どもの症状・合併症 (腎炎/リウマチ熱)と治療期間の正しい知識|ピースこどもクリニック|中央林間駅徒歩1分の小児科

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溶連菌は薬で治る?治らない?|子どもの症状・合併症 (腎炎/リウマチ熱)と治療期間の正しい知識

溶連菌は薬で治る?治らない?|子どもの症状・合併症 (腎炎/リウマチ熱)と治療期間の正しい知識|ピースこどもクリニック|中央林間駅徒歩1分の小児科

溶連菌は薬で治る?治らない?|子どもの症状・合併症 (腎炎/リウマチ熱)と治療期間の正しい知識

秋から冬にかけて増える代表的な感染症のひとつに、
「溶連菌(A群β溶血性レンサ球菌)感染症」 があります。

多くは自然に治る“軽い咽頭炎”ですが、実は 適切な治療や経過観察がとても重要な感染症 です。

今回は、溶連菌が引き起こす症状、合併症、そして「薬で治る?治らない?」という疑問について、分かりやすく解説します。

1.溶連菌感染症とはどんな病気?

原因菌は A群β溶血性レンサ球菌(GAS) です。
小学生を中心に、0〜12歳では非常に一般的な感染症です。

代表的な症状は、

  • ・喉の強い痛み
  • ・発熱
  • ・いちご舌
  • ・扁桃の白苔
  • ・発疹(猩紅熱)

などです。

迅速検査で診断できます。

2.抗菌薬なしでも治る? —— 正しい“治療の目的”

結論から言うと、溶連菌感染症は抗菌薬なしでも自然に治ることが多い病気です。
お子さんの免疫の力で、数日〜1週間ほどで症状が改善してくることも少なくありません。

ただし小児科では、抗菌薬による治療が明確に推奨されています。
その理由は医学的に次の4つです。

① 症状の改善が早くなる
② 家族内・学校・保育園での感染を減らせる
③ 扁桃炎・中耳炎・皮膚感染などの合併症を減らせる
④ 「リウマチ熱」を確実に予防できる(最も重要なポイント)

つまり、
「治すため」だけでなく「合併症を防ぐため」に抗菌薬を使う と考えていただくと分かりやすいと思います。

3.抗菌薬は何を使う?何日飲む?

第一選択となるお薬は、

  • アモキシシリン(AMPC)
  • またはその他のペニシリン系薬

です。

世界的にも「溶連菌に対して耐性がほとんどない」非常に優秀なお薬です。

● 内服期間:原則「10日間」

昔からの標準治療で、現在も推奨されています。
その一番大きな理由は、「リウマチ熱」の予防効果が、10日間の内服で確立している ためです。

近年は「5〜7日間でも症状改善は十分」という研究もありますが、
合併症予防(特にリウマチ熱)を考えると、現時点では10日間の内服が安全 と考えられています。

4.急性糸球体腎炎(PSAGN)は抗菌薬で予防できる?

ここが、とても大事なポイントです。

結論:抗菌薬を飲んでいても、「腎炎(急性糸球体腎炎)」は予防できません。

急性糸球体腎炎は、
「溶連菌に対する免疫反応」が引き金となって起こる腎臓の病気 です。

流れとしては、

  • 1.溶連菌に感染する
  • 2.溶連菌の成分(抗原)に対して体の免疫が反応する
  • 3.数週間たってから、腎臓で炎症が起こる

という形です。

つまり、
感染が成立した時点で免疫反応は始まっているため、途中から抗菌薬で菌を除去しても、腎炎の発症そのものは止められない のです。

そのため、

  • 抗菌薬をきちんと飲んでいても腎炎になることはある
  • 逆に、飲んでいなくても腎炎にならないお子さんもいる

という性質があります。

腎炎そのものは、現在の日本では多くが軽症で経過良好です。
ただし、「尿の色が赤い・茶色い」「むくみ」「頭痛」などが見られた場合は、早めに受診して検査を行うことが大切です。

5.一方、抗菌薬で予防できるのは「リウマチ熱」

抗菌薬で予防できることがはっきりしている合併症は、「リウマチ熱」です。

現代の日本では非常にまれになりましたが、

  • ・関節の痛み・腫れ
  • ・心臓の炎症
  • ・舞踏病と呼ばれる不随意運動

などを引き起こす病気で、長期的には心臓の弁に障害が残ることもあります。

ペニシリン系抗菌薬を10日間しっかり内服することで、このリウマチ熱の発症を大きく減らせる ことが、過去の多くの研究で示されています。

そのため、
「どうせ自然に治るから薬はいらない」 ではなく、
「合併症を防ぐために10日間しっかり飲みきる」 ことが大切です。

6.溶連菌のあとに注意すべきサイン

腎炎(急性糸球体腎炎)は、溶連菌の感染から1〜4週間後に発症することがあります。

次のような症状があれば、早めの受診をおすすめします。

  • ・尿の色が赤い、コーラ色・紅茶色に見える
  • ・尿が減って、顔や足がむくむ
  • ・頭痛、だるさ
  • ・血圧が高いと言われた(学校検尿や健診など)

多くは軽症で、経過とともに改善していくことがほとんどです。
ただし、尿検査や血圧のチェック、必要に応じた血液検査など、腎臓の状態を確認するフォローがとても大切です。

(補足: 腎炎の診断契機としては尿色の変化や尿量の減少による浮腫がほとんどであり、以前のような感染後3週ほど経過した時点でのルーチンの尿検査の意義は大きくないと思います)

7.ピースこどもクリニックで大切にしていること

当院では、溶連菌感染症と診断したお子さんに対して、

  • ・適切な種類・量・日数の抗菌薬の処方
  • ・登園・登校の目安や、ご家族へのうつり方の説明
  • ・腎炎を疑う症状の説明、受診の目安

を丁寧に行うよう心がけています。

溶連菌は“よくある病気”だからこそ、
「よくあるから大丈夫」ではなく、「よくあるからこそ丁寧に」 診ることが大切だと考えています。

8.よくあるご質問(Q&A)

Q1.抗菌薬を飲まなくても治りますか?

A.多くの場合は自然に治りますが、抗菌薬の内服をおすすめします。

溶連菌感染症は、免疫の力で自然に治っていくことも多い病気です。
ただし、リウマチ熱などの合併症を防ぐため、また周囲への感染を減らすために、抗菌薬をきちんと飲んでいただくことをおすすめしています。

Q2.薬は何日間飲めば良いですか?

A.基本的には「10日間」飲みきることが大切です。

症状が数日で良くなっても、お薬を途中でやめてしまうと、
菌が完全にいなくならなかったり、合併症予防の効果が十分得られなかったりする可能性があります。
処方された日数分をしっかり飲みきってください。

Q3.飲み忘れてしまいました。どうしたら良いですか?

A.気づいた時点で1回分を内服し、その後は指示どおりに続けてください。

2回分をまとめて飲むのは避けていただき、
分からない場合はクリニックまでご相談ください。

Q4.いつから登園・登校しても良いですか?

A.多くの場合、「抗菌薬を飲み始めてから24時間以上経過し、熱が下がって元気であれば」登園・登校が可能です。

園や学校ごとに細かいルールが異なる場合がありますので、
園・学校からの指示も合わせてご確認ください。

Q5.家族にうつりますか?

A.はい、うつる可能性があります。

兄弟や保護者の方に、
喉の痛み・発熱・発疹などの症状が出た場合は、早めの受診をおすすめします。
手洗い・マスク・食器やタオルの共用を避けることも大切です。

Q6.腎炎は薬を飲んでいても起こるのですか?

A.はい。腎炎(急性糸球体腎炎)は、抗菌薬の内服の有無に関わらず起こることがあります。

これは、腎炎が「溶連菌に対する免疫反応」で起こる病気だからです。
抗菌薬を服用していても、「尿の色が赤い・茶色い」「むくみ」「頭痛」などの症状があれば、早めにご相談ください。

9.まとめ

溶連菌感染症は、子どもの間でよく見られる病気です。
多くは軽症で自然に良くなりますが、
リウマチ熱や腎炎といった合併症があることも知っておいていただけると安心です。

・抗菌薬はリウマチ熱の予防にとても大切
・腎炎は抗菌薬の有無にかかわらず起こることがあるため、経過観察が重要

ピースこどもクリニックでは、お子さんとご家族が少しでも安心して治療を受けられるよう、
分かりやすい説明と丁寧な診療を心がけています。

気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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