
こんにちは、院長の松村です。今日は百日咳について注意喚起です。
マスメディアでも大きく取り上げられていますが、タイトル通り百日咳の患者さんが急増しています。神奈川県衛生研究所の感染症週報を見てみると、ここ2か月で報告患者数が右肩上がりで神奈川県内の1週間の報告数は100人を超えている状態です。今年に入って神奈川県では990人の報告があり、昨年1年間の報告数265人と比較しても感染拡大していることがわかります。神奈川県内では横浜市が最多で次いで川崎市に患者さんが多く、当初は大和厚木エリアは少なかったのですが、大和でも確実に増加しています。
次に患者さんの年齢ですが、7歳から14歳が多く、乳児の患者さんも多いです。百日咳はワクチンで予防できる病気(VPD, vacctine preventable diseases) であり、乳児期から4種混合ワクチン、5種混合ワクチンとして予防接種しています。ですが学童期や思春期に入る頃には抗体価が低下し発症していることが考えられます。同様に成人の発症例もみられます。長く咳が続く患者さんに百日咳の患者さんが含まれ、周囲に感染を拡大させていると思われます。新生児では脳症や肺炎、無呼吸などで死亡する危険性があり注意が必要です。
治療はマクロライド系抗菌薬を用いますが、耐性化の報告があります。感染後の症状を劇的に改善させることは難しいと思いますが、周囲への感染拡大を防ぐことが可能です。診断は推定発症日からの期間によりますが、3週以内であればLAMP法などの拡散増幅法検査(鼻咽頭ぬぐい)で検出可能です。
実際、当院でもここ1-2週で数人百日咳と診断されたお子さんがいらっしゃいます。比較的年長児で熱や鼻水も目立たず、激しい咳で夜も眠れない、咳で嘔吐するなどのお子さんは疑いがありますので受診を検討してください。特にご兄弟に1歳未満のお子様がいるご家庭では注意をしていただきたいと思います。
参考 神奈川県衛生研究所 神奈川県百日咳情報https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/003_center/0005_ryukou/pertussis/250617_pertussis_10.html