
こんにちは、院長の松村です。
今回は「将来、がんを予防することのできる」ワクチン、子宮頸がんワクチン (HPVワクチン) についてご紹介したいと思います。「いつ打つの?まだ早いのでは?」「副反応が心配・・・」そういった不安を持つ方にぜひ読んでいただきたい内容です。
【子宮頸がんとは?】
子宮頸がんは子宮の入り口(子宮頸部といいます)に発生するがんで、20-30代の若い女性に多い(この年齢層ではがんの臓器別発生部位の第一位です)のが特徴です。日本では年間におよそ1万人の女性が子宮頸がんと診断され、毎年約2,800人が命を落としています。しかし、子宮頸がんは予防できるがんでもあり今回のテーマであるHPV (ヒトパピローマウイルス)ワクチンがその鍵をにぎっています。
【HPVとは?】
HPV (Human Papillomavirus; ヒトパピローマウイルス) は性交渉のある人のほとんどが一度は感染するとされています。通常自然に排除されますが、一部の型に感染すると、数年から数十年かけてがんに進行することがあります。一度感染するとワクチンでウイルスを排除することができず、がんへの進行を防ぐことへの期待はできません。つまり感染する前、つまり10代前半でのワクチン接種がとても重要です!
【HPVワクチンとは?】
現在、日本国内で使用されているのは9価ワクチン(子宮頸がんの原因となる9つのHPVの型を含んでいます)で、90%以上のがん予防効果があるとされています。ワクチンは小学校6年生〜高校1年生相当の女子には、公費(無料)で接種可能です。初回接種が若年であればより効果が持続すると考えられており、15歳未満で初回接種を行った場合は2回接種でもよいとされています。初回接種が15歳以降であれば原則3回接種のスケジュールとなります。
【副反応や安全性について】
ワクチン接種については、筋肉注射ということもあり不安を感じる方も多いかと思います。HPVワクチンでは腕の痛み、腫れ、微熱、気分不良などが一過性にみられますが通常数日で改善します。厚生労働省、WHO (世界保健機関)、日本産婦人科学会も「安全性は高く、予防効果が非常に大きい」と評価しています。
Q. 子どもにはまだ早すぎるのでは?
A. 最も効果が高いのは「HPVに感染する前」、つまり10代前半での接種が推奨されます。
Q. 将来の妊娠・出産に影響はありますか?
A. これまでの研究で、不妊や流産などとの因果関係は認められていません。安心して接種できます。
【当院での接種について】
当院では、HPVワクチンの定期接種に対応しています。
【接種対象】小学6年生〜高校1年生の女子(公費)/それ以外は任意接種
【回数】3回接種(1回目・2ヶ月後・6ヶ月後)※初回接種が15歳未満の場合、2回接種を選択することも可能です
【予約】WEB予約またはお電話にて受付中
わからないことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
【まとめ 〜未来へのプレゼントとしてのワクチン〜】
HPVワクチンは、お子さんが将来“子宮頸がんにかからないかもしれない”という、大きな可能性を持つワクチンです。一生に一度の選択が、長い人生の健康を守ることにつながります。
迷われている方こそ、まずはご相談ください。正しい情報を知ることから、一歩が始まります。
【参考資料】
• 厚生労働省「HPVワクチンQ&A」
• 日本産科婦人科学会「子宮頸がんとワクチンについて」
• MSD Connect シルガード9/ガーダシル